ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

(やっぱり、そういう、ことなのか……)

咲美は、藪沼によって膣内に注がれた精液を掻き出しているのだ。

つまり、今観ている映像は、前回受け取ったDVDと同夜に録画されたもの。

咲美が藪沼に膣内射精されたのが三時四十分頃で、部屋から出てきたのが四時過ぎ。前回DVDで確認済みの時刻状況とも合致する。事後の二十分弱の余白は、ここで、小露天風呂で費やされていたのだ。

(僕に合わす顔がないからと……こんなにもなりふり構わず……マ○コを穿って)

奴に隠し撮りされているなどとは思いもせずに。まして、その痴態が夫の目に触れることになるなどとは、想像もできずに。映像の中の妻は、恥ずかしがり屋の平素からは想像もつかぬ痴態を曝している。一心不乱に割れ目に添わせた手指を蠢かすさまが、憐憫を誘うのと同時に、平素とのギャップでひと際淫猥に映る。

『智……ごめん。ごめん、ねぇっ』

正面から隠しカメラに収められ続ける咲美の、今にも泣きだしそうな表情と声音に、夫への愛情が強くにじんでいた。それもまた哀切を誘う。

(なのに、僕は……っ)

すでにズボンとトランクスを下ろして、右手で己が肉竿を握り締めている。否応のない期待を抱き、早鐘のごとく鳴る心臓を、心地よいとさえ思っていた。

『ン……ッ、出てっ、早くっ、出て、よ……ぉっン、ンは、ぁ……っ』

咲美の右手人差し指と中指が、根元まで膣内に埋まる。そうして内部を穿り回したのちに抜け出てきた指には、もう先ほどの白い濁り汁は絡みついていない。幾度指を突き入れ、穿っても、腰を揺すり、喘ぎながら角度を変えて試しても、結果は同じ。

指の届く範囲を穿り終え、咲美の股下には湯に溶けた種汁が溜まっている。映像を見始めてからだけでも、相当の量が掻き出されていた。なのに、まだ膣内にへばりついている感覚があるのか、咲美の指は止まるどころか、どんどん忙しく、雑な動きになっていく。彼女の焦燥と嘆きが痛いほどに伝わった。

「どれだけ奥で……どれだけの量をっ……」

──藪沼の逸物は、咲美の指よりもずっと長いのだから、さもありなん。

冷酷な現実が頭の隅をかすめ、それに炙られた肉の竿が卑しく滾る。

奴のモノのサイズと、それを目一杯突き入れて放精していた時の至福の表情。二つ同時に思い出してしまい、また一段と嫉妬が、嫉妬に由来する歪な昂揚が自慰中の肉竿に注がれた。

画面内では、湯船に給水口から延々と勢いよく新しい湯が注ぐ。その際に響き渡るけたたましい水音と、咲美が膣洗浄に集中しているという状況が、侵入者の接近を易々許す伏線だと、わかってしまえたがために。

「咲美、ごめん。ごめんよっ……僕は……っ、ぅはっあ、あぁっ」

自ずと擦り立てる肉の竿の内に、被虐的な喜悦が奔り轟く。早々に鈴口より染みこぼれた我慢汁が潤滑油の役割を果たし、摩擦の速度が見る間に上がる。ニチャニチャと浅ましい音色を響かせながら、仰ぎ見た映像の中の妻もまた、懸命に膣を穿り回し、いやらしい水音を奏で続けていた。そのさまは、ただひたすらに美しく、愛おしい。

──それなのに。

和室とテラスを隔てるカーテンと大窓が、揃って開け放たれる音が聞こえた途端に、ひと際肉の竿がしなってみせた。その内に痛切な、忘れじの恍惚が再来してしまう。

『きゃああっ』

狭くはないが、決して広くもない小露天風呂スぺースで、扉に背を向け座っていたために、あまりにもあっさりと咲美は男の接近を許してしまった。男の獣欲に彩られたえびす顔を仰ぎ見て、咲美が悲鳴を上げる。

しかし、彼女の目が男の股間へと一直線に注いだのを、物言わぬカメラが鮮明に捉えていた。

『はは、どうにも収まらなくてね。すまないけど、もう一発。お願いできるかな』

室内で脱ぎ捨ててきたのか、すでに全裸の藪沼が、悪びれもせず言ってのける。

『も、もう時間がっ……待ってる夫に不審がられますからっ』

咲美は拒絶の意思を露わにした。しかしその物言いは、「時間さえあれば、やぶさかでない」という意味合いであるようにしか聞こえない。

事実、未だ妻の視線は、藪沼の猛々しく屹立した肉砲身に釘づけで、洗浄中の膣に添わせた手は、無意識になのかどうなのか、割れ目を指で開いた状態で止まっていた。

奴に散々擦られたために赤みを増した粘膜を覗かせながら、椅子の上の尻を小さく揺すり。やはり震えている左右の膝を摺り合わせた状態で、けれど決して脚を閉じることなく、割れ目を男に見せつけ続けている。藪沼に劣らぬ貪欲さで、咲美の肉体が無言の催促をしている──。

『手短に済ますから大丈夫っ。ほら、アサオカちゃんのマ○コも、都合よく準備万端みたいだし』

相手の状態を察した藪沼の行動は、小太りの体型の主とは思えぬほどに迅速だった。両手で咲美を背後から、豊乳を揉みながら抱き起こしたかと思うと、間髪容れずに蜜壺へと指を滑らす。

『ひあっ……や、やめてっ。今はダっ、んッ! あぁッ』

慣れた手つきで膣口を撫で擦られたのみならず。半勃起状態だったクリトリスをも捏ねくられ、瞬く間に咲美の身体から力が抜ける。抵抗する言葉も、掻き消えんばかりの弱々しさとなり、ほぼ形だけのものと成り果ててしまった。

「せっかくだし温泉旅行の思い出に、お湯に浸かりながらしようか」