ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

『あ、ああっ、ひっあっあああああっ、いっ、いいいいっ』

「言うな咲美っ……くぅっ、ふ、うぅぅっ」

『言うんだっ!! おっきい声でっ!』

喘ぎながら紡いだ懇願が、藪沼の大声に掻き消された。続けざまに画面の中の男女の生殖器同士がぶつかり合う肉の音が弾け、飛び散った蜜が煌めく。

ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌 ヤブヌマシリーズ

『いっ、いっ、イぐぅぅぅぅっ!!』

とうとう、咲美の心が藪沼に屈した瞬間。

峻烈に引き攣れて潮を噴いた割れ目から、巨大な肉砲身が引き抜かれるのと同時に、みじめな傍観者の手中でも悦波が爆ぜる。

『うほおおおおっ! 出るよ、出るよぉぉぉぉ! アサオカちゃあああんっ!!』

猛々しく反り返る藪沼の砲身が、桃色ゴムを引っぺがされてすぐに尋常でない量の白濁液を、弓なりの咲美の背中に撃ちつけた。量もさることながら、ドロリと濁った液の粘度、濃度共に濃く、付着したそばから自重によって垂れ下がり、糸を引く。勢いも強烈で、打ち据えられる都度咲美の背が怯えたように大きく震えた。

結果、一斉に背筋より滑り落ちた粘液が、火照り通しの桃尻をも染め抜いてゆく。

「んぐっ! ううううっ!」

その一部始終を見届けることしかできない中での吐精には、痛切な虚しさと、過去にない甚大な量の淫悦が付随した。

『ハハッ、はぁっ……まだ出るよっ、全部受け止めてねっ、アサオカちゃんっ』

小便するように、ブルッと身震いしてから五度、六度。奴の射精は音まで聞こえてきそうな勢いで噴き続ける。

『ふぁ……あ……んぁ……ぅ』

咲美は四つんばいの体勢から前のめりに倒れ、小さく呻いたきり、荒い息を吐きながら目を閉じていた。敷布団の上で亀のように丸まった姿勢を取り、噴きつける精のすべてを受け止めている。

黄色く粘っこい藪沼の体液が、咲美の背の窪みから溢れ、桃色の肌へ、たっぷり吸われた乳房へと垂れ落ちてゆく。尻の谷間からこぼれた汁が、膣口の方にドロリと伝うのも視認できた。

フローリングの床に飛び散った己の精と、愛妻の肌を席巻する藪沼の精とを見比べた。量も濃さも、吐き出る際の勢いも、奴の方が明らかに勝る。

唯一、吐精の瞬間は奴よりもわずかに後だった。しかしそれも、奴が咲美の膣内を堪能した、という現実の前では、さしたる優悦を生み出さない。

咲美が藪沼と情を交わしたという事実は、もう決して覆らない。

(……あぁ)

この数か月抱き続けてきた妄想が、ついに最悪の──至高の形で結実したのだ。

こうなって初めて、この目で見てようやく思い知る。以前の咲美が、画面に映し出されているその時点で、すでに永遠に消え去ってしまっていたのだと。

失望ではなく憐憫が湧いたことで、つくづく改めて咲美に寄せる愛情の深さをも思い知らされた。

「咲美……ごめんっ、ごめん、なぁっ……」

ぎゅっと絞った肉竿が内に溜まった最後の一滴をひり出すのと、画面の中の肉凶器が愛妻の尻をベチベチとぶつのとが同時。今度は奴の方が一瞬遅く、桃尻に摺りつきながら射精する。

映像は未だ、録画時間の半分も過ぎていなかった。先を観る理由はもはやなく、さりとて観ないという選択肢が浮かび上がろうはずもなく。

妻を裏切り続けた末に到達した悦波の味が忘れられず、気づけば再び画面に目を奔らせていた。

第六章 一夜の真実(第二幕)

画面上では、いつの間にか咲美が藪沼の上になって腰を上下させている。そのさまが正面から捉えられていた。

カット編集されているために実のところはわからないが、咲美の火照り通しの肌、疲労の色濃い表情などから、さほどの休憩も挟まずの連戦であることが窺える。

『は……っぁん、はぅ、っんっ、んんっ』

先ほど噴きつけられた膨大な量の白濁汁こそ拭き取られていたが、早くも玉の汗を浮かべた、咲美の双臀。片手に余るその熟れ尻を、藪沼が当然のごとく両手で鷲掴みし、咲美好みのやんわりとした圧でもって捏ねている。

その尻の谷間の最下層付近、未だ蜜滴らす壺穴に、新たなゴムを装着した極太の肉棒が根元までずっぽり埋没していた。忌ま忌ましきその異物が前戦よりも張り詰めているように見える理由を推察するだけでも、はらわたが煮えくり返る。

(それだけ咲美の中の居心地がいいかっ……。ドロドロにほぐした膣との二連戦がっ……。咲美を独り占めできるのが、そんなに嬉しいか!)

画面の中の男は、答えない。

『うん、いいよ、アサオカちゃん、ゆっくり……ゆっくりで、いくからね……』

代わりに、あやすような猫撫で声を発して、一回戦終盤の肉弾戦ぶりから一転。蜜壺の心地を堪能するかのように、藪沼の腰が緩やかに揺らめきだす。

『あんっ。やっ、ぁ、は……ぁぁぁ』

真下からの悠長な衝撃に、咲美がまた困惑を浮かべた。しかし、それも一瞬だ。

甘く切なげな音色を隠すように、唇を噤む。凛とした振る舞いを取り戻した瞳が、きっと藪沼を睨みつける。わずかの休息の間に彼女の理性は取り戻されていた。

(いいぞ、咲美。それでこそ、君だ)

ゆえに、期待をまた抱いてしまう。──淡く、崩れ落ちるとわかっている、期待を。

直後、突如として携帯の呼び出し音が鳴った。思わず周囲を見渡すも、そもそも自身の携帯は寝室の枕元に置いてきている。防音の行き届いた書斎の音が寝室にまで届くはずもない。施錠もしてあるこの部屋に、邪魔は入らない。